英単語カードの作り方 — 紙とアプリ、続くほうを選ぶ

英単語カードを作ったことがない人はほとんどいない。手帳の端切れに書いた、ルーズリーフを切って作った、100均のカードストックを買ってきた。そして大半のカードは、どこかで作りかけのまま止まっている。

作る前によく見ておきたいのは、作り方そのものより「どこで止まるか」だ。作り方は紙にもアプリにもある。止まる場所は、たいてい共通している。

紙で作る場合

古典的な方法をまず書く。カードストックを買い、表に英単語、裏に意味と発音記号を書く。一度に作る枚数を決めて、作ったら輪ゴムで束ねる。

紙の利点は本物だ。手で書く作業は記憶に残りやすいとされるし、鞄に入れておけば電池もログインもいらない。ゼロから始めるなら、まず30枚だけ紙で作ってみるのは悪くない。続くかどうかのテストになる。

限界は枚数で来る。100枚を超えたあたりで「どれを覚えていて、どれを忘れたか」の管理が頭でできなくなる。箱を分ける方式(Leitner box)で管理する方法もあるが、箱の運用自体が習慣になる必要がある。カードは増え続けるのに、復習の仕組みは自分の運用力に依存する。ここで止まる人が多い。

エクセルと印刷で作る場合

単語リストをエクセルで打ち込み、カードサイズに裁断して使う方法がある。紙の手書きより早く、体裁が揃う。

問題は二つ。打ち込む作業が発生すること。そして印刷したカードは手書きと同じく、復習管理を自分でやること。つまり紙の限界(管理が自分依存)はそのまま残って、作る手間だけが別の形に移っただけ、になる。

それでもリストがすでに手元にあるなら(学校で配られたもの、教材の付録)、裁断して使うのは現実的だ。リストをカードにする工程さえクリアすれば、あとは使い方の問題になる。

アプリで作る場合

AnkiやQuizletのようなアプリでカードを作ると、復習の管理はシステムが引き受ける。覚えた卡片の間隔は自動で開き、忘れそうなカードだけ戻ってくる。紙が破綻する「枚数が増えたあとの管理」問題が、ここで解消される。

代わりに別の関所が出る。打ち込む作業だ。

アプリでカードを作るということは、単語・意味・例文を手で入力するということだ。1枚1〜2分として、100枚で2時間強。この作業が一番最初に立ちはだかるので、「まとまった休みにまとめて作ろう」と先送りされ、そのまとまった休日は来ない。来たとしても、打ち込みで力尽きて復習まで回らない。

作り方の話をしているのに話がそれるが、ここが本丸だ。英単語カードが続かない理由の大半は、作る作業と復習する作業が別々の時間に置かれていることにある。作るときに復習は進まず、復習したいときにカードはまだない。

入力をゼロに近づける

では、カードが勝手にできてくる作り方はないか。私はPiccardというツールを作っているが、そこで採用している発想はこうだ。教材からではなく、自分が観ている英語からカードを生やす。

PiccardはChrome拡張機能で、YouTubeに二重字幕を重ねる。観ている動画の字幕の単語か文をクリックすると、それがカードになる。意味、例文、翻訳が自動で付くので、打ち込む作業がない。カードは「観ている最中に欲しいと思ったもの」からできていく。この流れを単語に絞って書いたのがYouTubeで英単語を覚える方法で、観るだけの学習を続ける工夫の話がYouTube 英語学習を成果に変える方法だ。

FSRS(Ankiと同じ間隔反復のアルゴリズム)が復習日を計算し、アプリを開けば当日の分が並んでいる。紙で言えば「箱の運用」にあたる部分を、全部システムが持つ。

教材のPDFや資料から作りたい場合は、ファイルをアップロードしてカード化することもできる。学校で配られたリストを手打ちする必要はない。

枚数より回転

作り方を決めたら、最後に量の設計だけ決めておく。新しいカードを1日何枚増やすか。ここは控えめに始めるのが正解で、1日10枚前後で十分だ。1日50枚作ると、その分の復習が数日後にまとめて返ってくる。カード学習は作った枚数でなく、回った枚数で効く。

この方法が合わない人

書いておく。Piccardの字幕クリックが使うのはYouTubeだけで、Netflixなどには対応していない。紙のカードにあえて価値を置く人(鞄に束で入れておきたい人)には、紙の良さをシステムは置き換えない。また、動画も教材も使わず、単語帳を通読するだけで回っている人は、そのままでも構わない。カードは「復習の仕組みがない」ことの対策であって、全員に必要なものではない。

費用

Piccardは開始時に150エネルギーが付く。カード1枚で1エネルギーなので、150枚ぶん。そのあとは$5/$10/$20のチャージ制で、サブスクリプションではなく、チャージ分に期限はない。料金はサイトで確認できる。

はじめかた

Chrome Web StoreからPiccardを入れて、いつも観ている英語の動画を開く。最初の知らない単語をクリックする。それが1枚目になる。作り方に悩む時間を、1枚目を作る時間に使ったほうが早い。


(動画から単語を集める話はYouTubeで英単語を覚える方法で、話す練習に回す話はYouTube 英会話の独学方法で書いています。)

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