英語 リスニング 勉強 法 — 「読めるのに聞き取れない」の正体と、直し方
毎日三十分、英語の音声を聞いている。Podcast も洋画も欠かしていない。それなのに、字幕を外すと急に落ちる。共通テストや TOEIC のリスニングは、何度受けても同じ点が返ってくる。この状態が続いて、「英語 リスニング 勉強 法」で検索する羽目になる。
こういう人が語彙不足というわけではない場合が多い。長文は読める。語彙問題は取れる。伸びていないのは耳のほうだけだ。読めるはずのものが、聞くと取れない。この記事は、その落ち方の構造と、直す練習をどこで回すかについて書く。
どこで落としているか、まず確認する
手を付ける前に、自分の落ち方を見ておく。手順はこうだ。
- 字幕のある動画を一区間(二、三分でよい)用意して、字幕を消して聞く
- 聞き取れなかった箇所を頭に置いたまま、最後まで流す
- 同じ区間を、こんどは字幕を付けて観る
- 「文字を見て初めて意味が取れた語」を数える
数は例として置く。三分の区間で引っかかった語が18語、うち意味を知らなかった語が3語で、残る15語はどれも知っていた語、という結果に出ることがある。リスニングが伸びない人の典型的な落ち方はこの形だ。知らない語はごく一部で、大半は読んで分かる語が、音として認識できていない。
背景には、語彙の取り込み経路の違いがある。単語集や読書で入れた語は、目の経路で保存される。綴りと意味の対はできていても、話し言葉の中で実際に鳴る音の形とは結びついていない。英語は強勢のない部分が潰れて前に呑み込まれる。いわゆる弱形で、辞書の見出しの音と、文の中の音は別のものになる。What are you doing は「ワラヤドゥーイン」に、a lot of people は「アロッダピープル」になる。一語ずつは全部知っていて、つながると分からない。
なぜ、読む教材で直らないか
このずれを読む教材で埋めようとしても、埋める場所がそもそも違う。単語集と長文読解には音の情報が入っていない。目の経路を太らせる練習を続けても、耳の側の台帳はそのままだ。
かといって、音声だけを聞き流しても特定ができない。聞き流しでは、分かった区間と落ちた区間の境目が自分に見えない。スクリプト付きのリスニング教材は方向として正しい。音と文字が同時に揃う素材だからだ。ただし演習は教材が用意した一括りで行われるので、昨日自分が落とした行とは別の行を、明日も練習することになる。
必要なのは二つ。音と文字が同時に揃う素材と、自分が実際に落とした行の記録だ。
ディクテーションとシャドーイングの位置
この問題に取り組む確立された手法が二つある。
ディクテーションは、聞いた音を書き取ってスクリプトと突き合わせる練習だ。どこで落としたかの特定としては、これがいちばん確実で、落ちた語が実は知っていた語だと分かるのもこの照合の瞬間である。ただ手間が重い。例として、三分の音声を書き起こすのに二十分から三十分かかる。しかも書き写したものは答案であって復習教材ではないので、見つけた落とし穴が次回に持ち越されにくい。
シャドーイングは、音声の数秒後を追って声に出す練習で、知っている語を音で瞬時に処理する訓練としては王道だ。こちらも素材にスクリプトが付いていることが前提になる。
この二つは手法として確立されていて、この記事はそれらを置き換える話ではない。道具が担えるのは、その手前と後ろの工程だ。音と文字が同期した素材を用意すること。そして拾った行が、そのまま復習の列に並ぶこと。手法は人の側に残したまま、素材と記録の面だけを道具に渡す。
Piccard でこの流れを回す
私たちはこの流れを作っている側(Piccard)にいるので、その道具で書く。
Piccard は AI SRS フラッシュカードのアプリで、ウェブと Chrome 拡張がある。この記事で書く用途は Chrome 拡張のほうだ。字幕のある YouTube 動画を開くと、バイリンガルの字幕と行単位のトランスクリプトが表示される。
流れはこうなる。まず字幕を消して、いつも通りに聞く。聞き取れなかった行に当たったら、その行をクリックする。クリックしたその行だけが、カードの候補として届く。単語・意味・その行の例文・発音が入った形で来るので、残すものだけを選ぶ。動画の字幕全体をカードへ流し込むような機能ではなく、一行ずつ、引っかかった行を自分で指して拾う。書いておくと、字幕のない動画では使えないし、Netflix など YouTube 以外のサービスには対応していない。
保存したカードは、保存元の動画の同じ位置から再生される。復習の画面でカードを開くと、聞き取れなかったあの瞬間に、音声ごと戻れる。私たちがこの機能を日用で回していると、聞き取れなかった行を開き直したとき、原因は知らない語より、知っている語の音の形だったという結果に出会うことが多い。上のセルフチェックと同じ構造が、道具越しに毎回確認できる。
字幕のある動画から離れた入口もある。ウェブアプリでは、長いテキストやファイル(PDF・写真・動画・音声)を上げると、優先度が 0 から 100 で付いた候補のリストが並ぶ。そこから一度に最大 20 枚まで確定できる。復習に回る側は、動画から拾ったカードと共通だ。
復習の日程は FSRS-6 が計算する
カードが積もると、残る問いは「いつ戻すか」になる。Piccard では FSRS-6 がカードごとに忘れる頃合いを推定して、その日の分だけを並べる。評価は四段階(もう一度/難しい/普通/簡単)で、難しいと答えたカードは間隔が縮み、簡単と答えたカードは間隔が開く。目標の定着率は 0.9 がデフォルトで、設定ページはない。パラメータを調整して運用する道具ではなく、渡された分をこなすと回る。
リスニング用途での意味は、復習のたびに同じ場面の音声が同じ位置から流れることだ。数日前に落とした行が届いて、もう一度あの音で問われる。目の経路で入れた語を、耳の側へ移し直す反復が、ここで毎日少しずつ走る。
この方法が合わない時
字幕のない動画で学びたい人には使えない。自動字幕すら付かない素材では、そもそもクリックする行が現れない。ニュース速報のように、実時間で聞きながら処理する訓練を目指す人にも合わない。カードの復習は自分のペースで同じ場面に戻る練習であって、生の速さで聞き流す訓練の代替ではない。主な学習素材が Netflix など YouTube 以外にある人も、この用途では見送るしかない。ディクテーションやシャドーイングそのものを体系的に学びたい人は、専門の教材と指導書の領域だ。
費用
Piccardは開始時に150エネルギーが付く。カード1枚で1エネルギーなので、150枚ぶん。そのあとは$5/$10/$20のチャージ制で、サブスクリプションではなく、チャージ分に期限はない。料金はサイトで確認できる。
はじめかた
PiccardをChromeに追加する。今日聞く動画の、聞き取れなかった一行から始めればいい。字幕を消して一区間聞いて、落ちた行を一つだけクリックする。それで昨日の弱点が、明日の復習の列に並ぶ。勉強法を探し回っていた時間を、落とした行の回収に回せる。
(シャドーイングを含む独学の四段階ループはYouTube 英会話の独学方法で、観る学習を続ける工夫はYouTube 英語学習を成果に変える方法で、カードの作り方全般は英単語カードの作り方で、単語集の一覧を同じ復習に回す話はシス単 アプリで書いています。)
記事一覧はPiccardブログ。
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