英検 単語の覚え方 — 級が上がってもゼロから組み直さない

英検の単語学習は、級が変わるたびにリセットされやすい。受ける級が決まるとその級の単語帳を買い、最初のページから回す。翌年に受ける級が上がると、また新しい単語帳を買って、また最初のページから始める。

試験のほうは、そんな作りになっていない。英検は、級ごとに語彙の目安が公開されている試験だ。級が上がるほど語彙範囲は広くなり、下の級の語彙は上の級に含まれる。3級で覚えた語は、準2級でも2級でもそのまま効く。捨てるものが一つもない累積の構造なのに、学習の実態のほうは毎回ゼロからやり直している。

この記事はそのずれを埋める話だ。級ごとの語彙数の目安は諸説があり、ここでは数を引かず構造だけを使う。級の範囲をカードのデッキで持ちながら、級を跨いで積み上げる覚え方を書く。

級の範囲は累積でできている

まず構造の確認から。範囲の広がり方は決まっていて、大事なのは形のほうだ — 準2級の語彙の範囲は3級を含み、2級はその両方を含む。級が上がるとき、学習し直すべきものは何もない。足すだけだ。

単語帳が級別に分冊されていることは、この構造と少し噛み合わない。分冊は持ち歩きやすいが、級と級の語彙は重なっている。級が変わるたびに1ページ目から回すのは、その重なりを毎回もう一度覚え直すことになる。

出会い方の差も効いてくる。級の語彙は、本当は過去問の長文の中にいる。同じ語でも、リストの一行で出会うときと、長文の途中で出会うときとでは残り方が違う — 長文で出会った語には、どのあたりの文で見たかがくっついて残る。範囲を覚えるときも、リストを舐めるだけでなく、過去問の文から語彙に出会う経路を一本作っておきたい。

実際の流れ

私たちはこの流れを作っている側(Piccard)にいるので、その道具で書く。

級別のリスト・問題集を上げて、候補から選ぶ。 受ける級の単語リストや問題集をアップロードすると、単語と意味、例文のそろったカードの候補が並ぶ。全部を保存する必要はなく、知らない語だけを選ぶ — 一度に20枚まで。既に知っている語をもう一度覚える時間が、ここで消える。

過去問・長文の文から、文ごと残す。 長文を読んでいて引っかかった語を、その文ごとカードにする。表は単語、裏は意味、例文の位置には出会った元の文が入る。復習のたびに、その語を拾った長文の一文が一緒に戻ってくる。

字幕のある動画から。 リスニングが不安なとき、長文の外でも英語に触れておきたいときは、字幕のある動画を使う。Piccardの拡張を入れるとYouTubeに二重字幕が重なり、クリックしたその行だけがカードの候補になる。動画全体をカードに変えるようなことはしない — 行単位で、選んだものだけだ。この経路の細部はYouTubeで英単語を覚える方法で書いた。

流れ出会う場所カードに残るもの
リスト・問題集を上げる級の範囲の語彙知らない語だけ
過去問・長文の文本番と同じ文の中語と、出会った文
字幕のある動画長文の外の英語語と、その行の音

復習の間隔はFSRS-6が決める

デッキが級を跨いで積み上がると、次は管理の問題になる。どのカードを、いつ、もう一度出すか。Piccardは復習の日程をFSRS-6に任せている。カードごとに忘れやすい時期を読んで、その日に戻すぶんを決めて出してくる。評価はもう一度/難しい/普通/簡単の4段階で、難しいと答えると間隔が詰まり、簡単と答えると間隔が延びる。時間が経てば大半を忘れていくという忘却曲線と、忘れる直前に再会したものだけが長く残るという間隔反復の研究が、この設計の下にある。

次の級への持ち越し

この方法の本体はここだ。級が変わっても、デッキは持ち越される。

合格してもそうでなくても、その級で作ったカードは残る。次の級に上がるときは、新しいデッキを作るのではなく、同じデッキに新しい級の語彙を足す。前の級のカードは復習の間隔が開いて、たまに戻ってくるだけになる。下の級の語彙が上の級に含まれるという試験の構造と、デッキの積み上がり方が、ここで一致する。

例として計算すると、新しいカードを1日20枚ずつ足せば50日で1000枚。級の勉強期間をそのままデッキの成長期間にできる。数は例であり、級の期間と進度に合わせて縮めればいい。2次が終わったあとにデッキを閉じず、次の級の語彙を足す日から再開すれば、持ち越しは完了する。

この方法が合わない時

試験まであと数週間なら、新しい仕組みを作る時間はない。手持ちの単語帳をもう一周するほうが伸びる。それと、Piccardの字幕クリックが使うのはYouTubeだけで、他の動画サービスには対応していない。級の単語帳の通読ですでに回っている人は、そのままでいい。新しい道具は、要らない話だ。

費用

Piccardは開始時に150エネルギーが付く。カード1枚で1エネルギーなので、150枚ぶん。そのあとは$5/$10/$20のチャージ制で、サブスクリプションではなく、チャージ分に期限はない。料金はサイトで確認できる。

はじめかた

PiccardをChromeに入れて、最初に受ける級の単語リストを上げ、知らない語だけを選ぶ。または今日解いた過去問の長文から、引っかかった一語を文ごと保存する。この1枚がデッキの1枚目になる。次の級を受けるとき、ここから続いているデッキがそのまま手元の資産になる。


(カードの作り方全体の話は英単語カードの作り方で、動画の字幕からカードを集める流れは動画の字幕から単語を拾う記事で書いています。観るだけの学習を続ける工夫はYouTube 英語学習を成果に変える方法で、聞き取った英語を声に出す練習はYouTube 英会話の独学方法で扱っています。)

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